アートで人は円になる

絵から学ぶこと、読書、料理、妊婦の日々。

大人も沢山絵を描いて欲しい

「子どもの絵が訴えるものとその意味」

香川勇・長谷川望 共著

黎明書房

 

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またまた、児童画関係の本を読みました。

ボリュームのある内容でしたが、

少しご紹介します。

 

「幼児はことばが未発達で、

自分の気持ちをうまくことばに

表現できないので、

絵でそれを表現するのだ

とよく説明される。

 

しかし、子どもたちは、

ことばだけでなく手の方も未発達で

それほど器用なわけではない。

 

従って、気持ちを絵で表すということは

なおのこと不自由だ

といわねばならない。

 

我々が感心するのは、

絵の巧みさではなくて、

その不自由な手にもかかわらず、

十分にその意を伝えている、

その巧みな「喩え」なのである。

 

絵以前の「喩える力」、

心の状態を視覚的なイメージに

移しかえる不思議な力にこそ、

我々は注目しなければならないのである」

 

という記述がありました。

 

私はこの部分から、

 

現代のストレスにまみれて

自分がどうしたいかわからなくなって、

自分を見失ってしまっている

大人の方々か思い浮かびました。

 

ここでは

「幼児」というけれども、

「大人」も同じだと思うんです。

一生、何かしらの自己表現は必要だし、

感情の発散が必要だし。

 

特に大人になると、

色んな感覚が麻痺してゆきます。

 

日々、感じていることが沢山あるのに、

自分の心が訴えたいことがあるのに、

それに気付かない。

気付けないのか気付かないふりをしてるのか。

 

フタをして、見ないようにしてるのか…

(でも、フタをすると、

違う形でそれが露呈するんですよね)

 

自分で自分がどういう状態なのか、

どこにいるのか、

何を大切にしたいのか、

確認する時間も機会も無くなって

しまっている。

 

自分を感じるには、

自然に触れるのが一番いいと思うんですが、

その機会もなかなか取れずにいる、大人。

 

 

そんな大人の方々に、

アートセラピーは本当によい

自己発見の機会だと感じます。

 

なぜなら、そこに

絵の上手さ・巧みさなど

必要ありませんし、

そこに、心の「喩え」があらわれるので

心のメッセージが受け取れるからです。

 

そして…

 

「『喩え』は『深層へのパスポート』」

 

という記述もありましたが、本当に仰る通り。

 

絵が心の喩えを表現できるものだとしたら、

絵に色や形で表現されたものは、

本人が見たときに認識せざるを得ない。

なぜなら、

作品はすでに生み出されてしまったから。

心の様相が、そこに表れてしまったから。

 

夢でもなく、言葉でもなく

わかりやすい色や

自分が表現したものを

じっくり見てみたときに、

自分でも無意識の心の深層を

垣間見ることができるんだと思います。

 

改めて、

大人に沢山絵を描いて欲しい〜‼️

アートセラピーをやって欲しい‼️

という思いが強くなりました。

 

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そして、この本は、

子どもたちが描いた絵を

読み解いてゆくだけでなく、

古代エジプト〜中世ヨーロッパ〜近代の

美術の変遷に触れながら

なぜ人は絵を描くのかという部分にまで

迫る、盛りだくさんの内容でした。

 

今から21年前に出版された本ですが、

何度も読み返したい一冊となりました。

 

石川 マエガミ


~アートで人は円になる~

アートピース 

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